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執筆者の写真上の助空五郎・Soragoro Uwanosuke

ごぜさんござーる レポート

この夏の大一番「ごぜさんござーる」の2日間で3公演が無事に幕を閉じました。ほんとに暑い中、コロナの感染者数が増えていく様子をテレビやスマホから知らされながらもうっかりご来場くださったお客さまには感謝いたします。公演の終演報告とここまでの歩みをこのブログに綴りました。少々長いですがよかったら読んでください。




この公演をやろうと決めたきっかけは、僕の地元の高山の「こだいじん」という民謡が元々は新潟の民謡「新保広大寺節」が基になっており、十日町市にある広大寺が発祥の地であるというのを知ったことから始まりました。なぜこの唄が生まれ、越後の盲目の女旅芸人、瞽女(ごぜ)さんによって歌い広められ、各地の民謡に変化していったのか。これほど芸人魂をくすぐられるトピックもないので、すぐに取り掛かりました。





公演日程を決めて、劇場をおさえ、色々な文献を読み、唄を調べ、稽古も始めました。でもどこか自分の動機と理由に心もとなさも感じていて、実際に新潟の十日町へ行ってみたいという気持ちが日増しに強くなり、ついに6月末に十日町へ行くことが叶いました。




誰も知り合いがいないまま、まずは広大寺のお寺の住職さんと連絡をとって会う約束をし、インターネットで見つけたライブができそうな会場にメールをしてみました。メールの返事がきた時の喜びは忘れません。人が人を紹介してくださり、新保広大寺節保存会の方を紹介していただき、なんと運よくその練習会にも参加することができました。生の踊りと唄を観させてもらい、芸には芸でお返しと、僕らも何曲か唄い交流をし素晴らしいご縁ができました。



翌日は十日町市内のIKOTEとギルドハウスでライブをし、僕らの歌と民謡を地元の方に聴いてもらう時間もでき大変盛り上がりました。突然やってきた民謡ハンターに丁寧に対応してくださった広大寺の住職さんや、ご指導くださった保存会の皆様と藤巻さん、十日町の色々な人と場所に僕らを繋げてくださった滝沢梢さん、泊まった宿の山の家さん、ギルドハウスさん、近藤未来さん、そして車をだしてくださった重野さん、僕らのライブを聴いてくださった皆様にも、改めてこの場で感謝を述べたいと思います。




越後は雪深いところです。昔、平家の落ち武者が逃げてきた時に、村の人々はその武士たちを目立たぬところに匿い住まわせたそうです。飛騨の平湯にも同じような話があり、雪深いところならではの人情の深さに親近感を覚えました。


子どもの頃に習った笠踊りの民謡「麦屋節」も久しぶりに踊りました。


あがさと出会ったのは大阪の「釜晴れ」でした。2020年の2月。空五郎、あがさ、カオリーニョ藤原の3組でライブをしました。カオリーニョさんは大阪のボサノヴァの名手で、カオリーニョさんが企画してくれなかったら、あがさとも出会ってなかった思うと人生は奇跡の連続だなと思います。





あがさは関西の江州音頭をオリジナルアレンジで歌っていて、そのクオリティーの高さにまず驚き、オリジナル曲やビートルズのカバーも超絶ユニークで面白く、不思議な声の持ち主で、こんな天才がいたんだと思いました。ちょうど自分も地元の盆踊り唄の飛騨やんさを唄い始めた頃で、タイミングもよかったんだと思います。意気投合してそれからすぐ3月にも一緒にライブをして、その後はご存じの通りコロナのパンデミックでしばらくライブができず、すべてがふりだしに戻ってしまいましたが、2021年に発表した空五郎の”Pandemic Love”のアルバムのコーラスを あがさ にお願いして、CDを聴いてくださった方にはご存じの通り素晴らしい作品ができあがり、それを機にまた徐々に一緒にライブをするようになりました。



上の助空五郎「Pandemic Love」2021年11月リリース。

CDはライブ会場、オンラインで購入できます。

タワーレコードオンライン

ディスクユニオン

HMV

サブスクリプションはこちらから


あがさのDOYASA! Recordsからリリースされたこちらも最高のアルバムです。

ぜひ買って聴いてください。

中西レモン

「ひなのいえづと」日本民謡集


民謡は面白いです。瞽女唄は面白いです。民謡研究家の竹内勉が面白いです。唄を覚えるのは大変でした。僕も様々なジャンルの唄を歌いますが、こんなに唄の稽古をしたのは初めてかもしれません。子供の頃に馴染んだ節を思い出しながら、毎日繰り返し聴いて覚えました。それはポルトガル語のボサノヴァを覚える作業と似ていました。あがさの民謡アレンジが素晴らしく、そして本人も言うほど難しいので、リズムと唄を身体にしみこませていく時間は長くかかりました。ブラジル音楽と民謡は相性がいい。人と声を合わせてハモるのは気持ちいい。


「ごぜさんござーる」という民謡ルーツショーができました。今後もさらに磨きをかけ、新保広大寺節から派生した他の民謡も覚えながら、全国各地で、海外でも公演したいなと思います。作品ができたことがうれしいです。来年はあがさと空五郎の中部地方の民謡を中心にしたCDを作りたいと計画中です。




今回、コロナ禍で陽性となたり、体調を崩されたりして遠慮されたお客様も多く見えました。再演の時にはどうか観てもらえますように。暑い夏の最中、本当なら会場でビールや冷たい梅ソーダーなんかも提供したかったですが、残念ながらそれも叶わず、換気をしながら

前半が「ごぜさんござーる」、後半がライブと、2部構成でご覧いただきました。


コロナ禍でも音楽があったから救われました。仲間がいたから救われました。好きなことを続けて救われました。


ご来場ありがとうございました。


あさくさ劇亭の遠藤さん、いつもありがとうございます。  





「ごぜさんござーる」


2022年7月23日、24日 

場所:あさくさ劇亭


台本:上の助空五郎

民謡アレンジ:あがさ

照明:劇亭


出演:あがさ 歌、ギター、三味線(シンガーソングライター)

   上の助空五郎 歌、ウクレレ、打楽器、踊り、マイム(ヴォードヴィリアン)


1部:劇中歌紹介


こだいじん 岐阜県 飛騨(抜粋)

新保広大寺 新潟県 高田瞽女:杉本キクイ バージョン

こうといな 新潟県 高田瞽女の門付け歌

麦屋節 富山県 南砺市五箇山

新川古代神 富山県 滑川市

かわいがらんせ 新潟県 高田瞽女の門付け歌

こだいじん 岐阜県 飛騨

新保広大寺 新潟県 刈羽瞽女:伊平タケ バージョン



2部(日によって内容違う)

郡上かわさき 岐阜県 郡上

騨やんさ 岐阜県 高山

If only I could swing more 空五郎曲

One after 909(the Beatles) あがさアレンジ

Rocksteady 空五郎曲

風々刺々 空五郎曲

Nadai あがさ曲

But not for me (George Gershwin) 日本語詞:空五郎

他:2人のソロ曲を日替わりで



あがさ出演情報

7月30日(土)すずめのティアーズ プー横丁の店(国分寺)

8月7日(日)すずめのティアーズ+中西レモン 中野駅前大盆踊り大会

8月28日(日)トラぺ座&すずめのティアーズ 公園通りクラシックス(渋谷)

9月8日(木)ととぅ(あがさ、飯島ゆかり) Bar nasa(奥沢)


空五郎出演情報

7月26~30日 浅草・東洋館 ボーイズバラエティ寄席

7月30日(土)文蔵組落語会 空五郎ゲスト ばばん場 高田馬場

9月3日(土)冬にわかれて、上の助空五郎 日下部民芸 岐阜・高山

10月28日~29日 阿佐ヶ谷ザムザ Soragoro ボサノヴォードヴィル


あがさ&空五郎 出演情報

8月13日(土)野麦学舎祭 あがさ&空五郎 岐阜県高山市高根町野麦

9月17日、18日 富山遠征 麦屋節と新川古代神を求めて(詳細未定 後日ホームページで)




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